生駒市の福祉施策について
(2/18学習会の竹内議員報告より)
「生駒市ハートフルプラン」は、市の福祉施策の総合計画で、2000年に初めて策定され、以後3年毎に「ハートフルプラン委員会」の提言を受けて見直しを行ってきています。2008年に第4期(2009〜2011年度)計画に向けた答申が出され、さまざまな福祉施策の廃止や見直しがされました。この答申の背景として、
①高齢者(65歳以上)の増加。2000−2007年で約6300人増加(人口は約2500人増)
②福祉経費の増大(6年間で倍増)
2000年度 2006年度
高齢者福祉 28億円 → 57億円
障害者福祉 4億円 → 8.5億円
③財政;個人住民税は勤労世代が横ばい又は減少により、増加は見込めない。国からの地方交付税の増額も見込めない。
④歳出削減;行財政改革(事業や補助金の見直し、入札制度の改革、職員数の削減)と福祉施策の見直し、などが背景にあります。
◎生駒市の行革による削減金額(単位;億円)
削減項目 2006年度 2009年度 2010年度
職員数削減 1.05 2.60 6.48
事務事業の見直し 0.78 1.14
補助金の見直し 0.46 0.35
随意契約の見直し 0.23
●ここでは正規職員を削減し、非正規職員に置き換えたことが大きい。
2006年 2011年
正規職員数 979人→861人(117人減)
非正規職員数 312人→411人(99人増)
(職員3人に1人は非正規となった)
◎生駒市ハートフルプランによる削減金額(単位;千円)
見直し対象事業
要介護福祉金 3,630(2008年度) 11,160(2009年度)
特定疾患者福祉金 4,190(2009年度)
食の自立支援配食サービス 5,588(2008年度) 1,778(2009年度)
高齢者交通費成(1.5万→1万に) 66,343(2009年度)
障がい者交通費助成 998(2007年度) 7,798(2009年度)
●2011年度では、自主学習グループへの施設使用料減免廃止で 4,930万円削減した。
●他方、小中学校耐震改修・改築工事、幼保園新増設、学童保育19時までの延長保育、3歳児待機園児の解消、小1・2年生30人学級実施、3歳未満に1人2万円支給、などの評価すべき点もある。
◎生駒市の財政状況
・経常収支比率(人件費・物件費などの経常的支出÷地方税・税交付金などの経常一般財源×100%)
2006年度=98.0%
2007年度=98.8%
2008年度=96.4%
2009年度=95.5%
2010年度=90.2%
2010年度に数字が大きく改善されたことについて、市は「政権交代により、地方交付税と臨時財政対策費が増額(15.5億円)されたことが大きく寄与したもので、一時的な現象である。」としています。
・財政健全度(次の3指標から見る)(2010年度)
①財政力指数(必要経費に対して市の自主的な収入の割合):0.81%
②実質公債費比率(標準財政規模に占める毎年の元金利子返済額):4.5%
③将来負担比率(標準財政規模に占める将来負担すべき負債の割合):−31.5%
※奈良県内全市のなかで、いずれもトップ。中でも将来負担比率がマイナスなのは、生駒市のみ。
職員を次々と非正規にし、福祉の細かい施策を削ってまで、財政健全化してきたことの是非が問われている。何のための財政健全化か?