2016/1月号
[季節の1枚]
12月28日、日本と韓国が、合意文書なき合意
「慰安婦」問題の、真の解決とは何か?
一歩前進、しかし問題点が !!
Q 日韓両政府の合意内容は?
A 1慰安婦問題は当時の軍の関与の下、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感し心からおわびと反省の気持ちを表明する。
2韓国政府は、元慰安婦支援の財団を設立し、日本政府の予算で10億円程度の資金を一括拠出する。
3今回の発表により、この問題の最終的・不可逆的な解決を確認する。
4日本大使館前の少女像は、関連団体との協議を通じて適切に解決されるよう努力する。
5国連など国際社会で、本問題に対する相互非難、批判を自制する。
日本政府が「軍の関与」を認め、「責任を痛感」し「心からおわびと反省」する、と認めたのは前進です。
Q 問題点は何ですか?
A 1993年に発表された「河野談話」(軍の関与の下に慰安所が設置され、慰安婦は強制使役の下におかれた)に対して、これを見直せと執拗な攻撃が繰り返しなされてきました。特に2014年8月の朝日新聞記事に対しては、「読売」「産経」「週刊新潮」「週刊文春」「週刊現代」などは猛烈な朝日バッシングを展開、安倍首相や高市前政調会長、自民党や維新の党の議員もこれに同調しました。菅官房長官は「当時のことは学術的観点からさらなる検討が必要」などと迎合的に対応し、安倍首相も維新の議員に対し「質問に感謝する」と述べていました。
「談話」見直し派が否定するのは、「強制連行されたことを示す証拠はない。元慰安婦の証言には裏付けがない」などといって、「河野談話」全体を信憑性のないものであるかのように攻撃してきました。
今回の日韓合意では、日本政府は「軍の関与」を認め、「責任を痛感」「心からおわびと反省」を認めたのですから、今後右のような見直し派の発言が出た場合政府はこれを放置せず、厳しく批判・反論しなければ、右の合意点3と5に反します。3の不可逆的とは、この合意以前の状態に戻らない、戻してはならない、ということです。政府は本気でこれを実行するでしょうか? 右翼団体の総本山、日本会議や靖国派、さらに在特会の批判に対し、本気で反論するでしょうか?
「談話」見直し派が「強制連行されたことを示す証拠はない。」などと主張する大きな根拠となっているのが、第1次安倍政権が閣議決定した2007年3月16日の政府答弁書(辻元清美議員の質問主意書に対する答弁書)です。政府答弁書の原文は「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」となっているのに、それを「強制連行を示す証拠はなかった」と読み替えられ、さらに「強制連行はなかった」と読み替えられ、これが最大の「よりどころ」「政府見解」として利用されてきました。
ここへ来て、日韓合意を受けて、政府は右の政府答弁書を正式に撤回する、と発表するでしょうか? 政府の本気度が問われます。
ソウルの日本大使館前の少女像
問題はまだあります。
この問題について政府が本当に誠実ならば、「軍の関与」を本当に認めたというのならば、軍の関与の実態について、具体的にどんな事実をどう認めたのか、これは「談話」見直し派との最大の争点であり、真相究明して明らかにしなければなりません。そこは口を閉ざすつもりでしょうか?
いま、元慰安婦を名乗り出ているキムハクスンさんはじめ、挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)の方々は「被害者への日本政府の公式謝罪」「誤りを償う法的賠償」を求めています。日本政府の真摯な態度が問われます。
日本国内の問題として、誤りを将来にわたって繰り返さないための歴史教育が重要です。文科省が歴史教科書の慰安婦の記述を削除させてきたのをどうするか、戦争責任を否定する育鵬社の教科書を検定でどうするか、本当に日韓合意の精神で書かれるのか、注目されます。
昨年5月3日、ドイツのメルケル首相はダッハウ収容所前での追悼の辞で「私たちは、被害者と自分自身と将来の世代のために、ナチスの蛮行を忘れない。これはドイツ人の永遠の責務だ。」と述べました。
いっぽう安倍首相は、昨年8月の戦後70年談話の中で「先の世代の子どもたちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにいかない」とのべ、先の戦争の反省や謝罪の言葉がどこまで本気か疑わせると共に、慰安婦問題について子どもたちに正しく教育することなど頭にないようです。
今回の日韓合意の前進面はそれとして評価しつつも、以上のような問題点があることを、今後とも注視していかなければなりません。
2千万署名のピッチを上げ、参院選に勝利しよう!
日本共産党後援会のみなさん、あけましておめでとうございます。新しい年になりましたが、今年は大変な年になりそうです。昨年強行採決された戦争法はこの3月に施行を迎え、いよいよ本格実施されます。
今年は何といっても、
1戦争法廃止2千万署名を圧倒的に成功させよう。
2参院選で共産党の勝利を勝ち取ろう。
3その参院選で野党統一候補を実現し、傲慢な自民・公明に打ち勝とう。
この3つは、いずれも手をぬけない最重要課題です。大志を持って、大いに奮闘しましょう。
初めから忙しい年になりそうですが、スケジュールもしっかり確認し、健康にも気をつけて勇躍してスタートしましょう。
1〜2月の予定 1月10(日)小林節講演会(15〜17時 セイセイビル) (要)事前申し込み FAX 0743-75-3325へ 住所・氏名・電話を) 1月13(水)佐藤真理弁護士戦争法学習会(18:30〜県文化会館) 1月16(土)日本共産党奈良県新春のつどい(14時〜いかるがホール) 1月17(日)内藤功弁護士戦争法講演会(13:30〜生駒市図書会館) 1月19(火)戦争法廃止ロングラン署名(午後2〜5時 生駒駅) 1月22(金)年金者組合生駒支部新年会(11時 平群かんぽ) 1月30(土)浜矩子講演会「経済学者が語る日本の戦争と平和」 (14時〜いかるがホール) 2月3(水)戦争法廃止ロングラン署名(午後2〜5時 生駒駅) 2月7(日)日本共産党生駒市新春のつどい(13:30〜図書会館大会議室) 2月19(金)戦争法廃止ロングラン署名(午後2〜5時 生駒駅) 2月20(土)九条の会・生駒「戦争に行かない、だれの子どももころさせない」市民集会(1:30〜 セイセイビル) |
参院選勝利、国民連合政権樹立へ 日本共産党奈良県 新春の集い1月16日(土)午後2時〜 いかるがホール |
お誘い合わせて、お越しください |
画 長尾強志